木の外壁メンテナンスと木部塗料について

木材の外壁は、温かみのある美しい外観が魅力ですが、その美しさを維持するためには適切なメンテナンスが不可欠です。窯業系サイディングなどに比べて、雨や紫外線、湿気の影響を受けやすいため、定期的な手入れが家の寿命を大きく左右します。
ここでは、木の外壁の耐久年数や塗り替えのタイミング、そして適切な木部塗料の選び方について解説します。
木の外壁の耐久年数と塗り替え頻度
木の外壁材自体の寿命は、樹種や施工、メンテナンス状況によって大きく異なりますが、適切な手入れをすれば20年〜50年以上は持ちます。重要なのは、木材そのものよりも、それを保護する塗料の寿命です。
- 塗り替えの一般的な目安:
- 浸透性塗料(ステインなど): 2〜5年ごと
- 造膜性塗料(ペンキなど): 5〜10年ごと
これはあくまで目安であり、建物の立地や日当たり、雨の当たり方によっても変わります。特に、直射日光が当たる南面や、雨が直接当たる部分は劣化が早まる傾向があります。
塗り替えのサイン
塗り替え時期は、年数だけで判断するのではなく、以下の劣化サインをチェックすることが大切です。
- 塗料の色あせ・退色: 紫外線の影響で塗料の劣化が始まっているサインです。特に浸透性塗料で顕著に見られます。
- 塗膜のひび割れ・剥がれ: 造膜性塗料に見られるサインです。塗膜が剥がれると、木材内部に水が浸入しやすくなります。
- カビやコケの発生: 湿気が多い場所に発生しやすいサインです。カビは木材の腐食を進行させます。
- 木材の毛羽立ちや反り: 塗料の効果が切れ、木材自体が劣化し始めているサインです。

木部塗料について
塗料を構成する要素
塗料は、顔料・樹脂・添加剤の3つの要素と、それをまとめる溶剤から構成されています。
- 顔料とは:
顔料は主に塗料の色彩を形成する成分です。顔料の役割は、着色や光沢の調整、硬さや強さ、付着力を調整することです。 - 樹脂とは:
樹脂は塗料が固める成分で、塗膜の光沢や耐久性に影響します。樹脂の役割は対象物に塗料を付着させ、腐食を防ぐことです。 - 添加剤とは:
添加剤は、防腐剤、防錆剤などの木材を守る成分です。「防カビ剤配合」や「超速乾性」などの成分表記は添加剤が配合されていることを示します。 - 溶剤とは:
溶剤とは、樹脂類を溶かすために使用する成分で、溶剤自体は塗装した後の塗料の乾燥とともに蒸発し塗膜にはなりません。
《溶剤の種類で、塗料が水性か油性かに分かれます》- 水性塗料…溶剤が水である
- 油性塗料…溶剤がラッカーなどの有機溶剤である
木部塗料の種類と特徴
木材に使用する塗料は大きく分けて2種類あります。
一つは、木材に浸透するタイプの浸透性塗料で、もう一つは表面に塗膜を作るタイプの造膜性塗料です。
それぞれの特徴について解説します。
浸透性塗料(ウッドステイン、木材保護塗料など)
木材の表面から内部に浸透して、木材を保護します。塗膜を形成しないため、ひび割れや剥がれが起こりにくく、再塗装が比較的簡単です。浸透性塗料の多くは油性塗料です。
- メリット: 木材の呼吸を妨げず、調湿作用を保ちます。木材の風合いを生かして木目の魅力を引き出します。
- デメリット: 造膜性塗料に比べて耐久性が低く、塗り替え頻度が高くなります。
- 主な浸透性塗料: キシラデコールやノンロット、オスモやバトンなど。
造膜性塗料(木部用ペンキ、ニスなど)
造膜性塗料は木材の表面に塗膜を形成し、高い防水性や耐久性を持ちます。
以前は耐久性の高い油性塗料が主流でしたが、最近は技術の進歩により、耐久性が油性に劣らない水性塗料も増えてきました。水性塗料は臭いが少なく、引火の心配がないため、DIYでも扱いやすいという利点もあります。
- メリット: 紫外線や雨風から木材をしっかりガードし、塗り替え頻度を抑えられます。
- デメリット: 塗膜で木目が潰されて木の風合いが損なわれます。塗膜が硬いため、木材の伸縮によってひび割れや剥がれが起こることがあります。再塗装には古い塗膜を剥がす手間がかかります。
- 主な造膜性塗料:
- 合成樹脂塗料: アクリル、ウレタン、ペンキなど
- 天然樹脂塗料: 漆、ワニスなど
おすすめ木部塗料
浸透性塗料〈木の味わいを活かす〉
オスモ

ドイツ製オイル塗料で家具や無垢の床材によく使われ、自然素材を中心に作られており安全性が高く小さなお子さまにも安心。
ワトコオイル

イギリス製オイル塗料。欧州の規制に基づき、有害な成分は含まれていないので非常に安全です。
キシラデコール

屋外のウッドデッキや木製のフェンスなどに良く使用され、人気があり知名度の高い製品です。
ノンロット

キシラデコールと同様に屋外のウッドデッキなどに使われ、良く比較される人気のある製品です。
造膜性塗料〈木材保護や耐水性優先の場合〉
水性ウレタンニス

室内に使用する塗料の中でも馴染みがあり、表面に膜を作るため耐水性に優れています。
ミルクペイント

ミルクの素材から作られた自然塗料で乾燥すれば耐水性を発揮します。
柔らかで優しい仕上がりが特徴で屋内外で使えるものもあります。
エマルションペイント

最も扱いやすく手軽に塗装ができるタイプで、刷毛やローラーでも使いやすく色を付けることができます。
キシラデコール コンゾラン

塗膜を作るのに木の呼吸を妨げない特殊な塗料。塗膜の割れや膨れ、剥離しない特徴があり屋外専用の塗料です。
まとめ:塗り替え時の注意点
木の外壁の美しさと耐久性を保つには、適切なタイミングと適切な塗料選びが重要です。木材の風合いを活かしたいなら浸透性、耐久性を重視するなら造膜性塗料を選びます。
浸透性塗料は、木目を残して木の質感を感じさせる仕上がりになります。
造膜性塗料は、木目を塗りつぶして今までのイメージを変えたり、洗浄でも洗い流せなかったくすみや黒ずみを高い発色性で隠すことができます。

造膜性塗料の上に浸透性塗料を塗布することは、基本的にはできません。 その逆、つまり浸透性塗料の上に造膜性塗料を塗ることは可能です。
木部塗料を塗り替える際は、既存の塗料の種類を正確に把握することが重要です。
- 既存が造膜性塗料の場合: 同じ造膜性塗料で塗り替えるか、一度サンダーなどで古い塗膜を完全に剥がしてから、浸透性塗料を塗布する必要があります。
- 既存が浸透性塗料の場合: 同じ浸透性塗料で重ね塗りできます。また、造膜性塗料に切り替えることも可能です。
塗料の性質を理解し、適切な手順で作業することが、木材の美しさと耐久性を長く保つための鍵となります。

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